物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)とは?書き方のポイントと具体例を解説 

by Dr. Renu Bisht
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What is a Narrative Essay? How to Write It (with Examples)

物語形式のエッセイとは、筆者が自身の体験を言葉に織り交ぜながら、読者を魅了する物語を紡ぎ出す文学形式である。この種のエッセイでは、著者の視点から物語を語ることで、読者と教訓や記憶を共有することを目的としている。描写エッセイと同様に、物語形式のエッセイでは比喩表現を効果的に用いることで、主題を鮮やかかつ創造的に描写し、読者の心に深く印象を残すことを目指す。

本記事では、物語形式のエッセイの定義を解説するとともに、必ず盛り込むべき重要な要素を挙げ、さらに読者を引き込む物語を創作するための実践的なアドバイスを提供する。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)とは?書き方のポイントと具体例を解説 

ナラティブエッセイは多くの場合、著者自身の個人的な体験に基づいて執筆され、読者に対して説得力のある形で自己表現を行う手法です。物語的な要素を駆使してプロットを伝え、読者の興味を引きつけながら、作品のテーマや意図を明らかにしていきます。ナラティブエッセイを書く際には、常に明確な目的やテーマを念頭に置く必要があります。これらのエッセイは、高校生に対しては個人的な体験に基づく魅力的な物語を創作する能力を評価する目的で課題として与えられることがありますし、大学出願時には出願者の人物像を評価する手段として求められることもあります。ナラティブエッセイの題材は、実際に起きた出来事を基にしつつも劇的効果を狙って細部をアレンジしたものもあれば、フィクションのシナリオを題材にしたものなど様々です。いずれの場合においても、目指すべきは「優れた物語」を語ることに他なりません。 

ナラティブエッセイにおいて重要なのは、物語そのものの内容そのものよりも、むしろその語り方にあります。ナラティブエッセイのテーマは、注目に値する出来事から日常的な出来事まで幅広く扱われますが、物語的な要素を効果的に用いることで、一見平凡な出来事であっても深みのある作品に仕上げることが可能です。特に注目すべきは、ナラティブライティングに求められるスキルが、形式的な学術論文に必要なスキルとは大きく異なる点であり、この点については次のセクションで詳しく考察していきます。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)に適したテーマ選び 

どのような物語でも題材にすることは可能ですが、以下の点を考慮すると良いでしょう: 

読者の興味を十分に引ける内容か、予想外の展開や変化に富んだ構成になっているか、何らかの教訓やメッセージが含まれているか(特に、物語の結末に意外な展開があると理想的です) 

物語形式のエッセイのテーマは無限に存在します――成功体験の物語、内省的な瞬間の描写、自己発見の旅の記録などです。こうしたエッセイは、書き手が自身の人生の一部を読者と共有する機会となり、書き手自身と読者双方の経験を豊かにします。物語形式のエッセイの具体例としては: 

「これまでの人生で成し遂げた最大の成果は何でしたか?そこから何を学びましたか?」、「最も困難な経験について描写し、それにどう対処したかを教えてください」といったものが考えられます。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)における重要な要素 

物語形式のエッセイでは、アイデアや表現方法、構成において創造性を発揮することが可能ですが、物語を明確に伝え、読者を引き込む内容にし、興味を持続させるためには、いくつかの必須要素を盛り込む必要があります。エッセイを作成する際には、以下のガイドラインに従ってください: 

  • 一人称視点で物語を語ることで、読者との共感を生み出しましょう。 
  • 十分な量の感覚的描写と比喩表現を用いることが重要です。 
  • 物語が時系列に沿って自然に流れるよう、論理的な構成を心がけましょう。 
  • 物語に深みを与える興味深いプロット要素を盛り込むこと。 
  • 文法、スペル、語彙選択に誤りのない、明確な表現を使用すること。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)のアウトライン作成について 

物語形式のエッセイのアウトラインは、文章構成の基礎となる枠組みであり、執筆作業に先立って思考やアイデアを整理するための重要な構造を提供します。このアウトラインは、物語の要点を簡潔にまとめる手段として機能し、序論と結論の構成を決定づけるとともに、物語の展開を明確に定義する役割を果たします。 

従来の5段落構成を厳格に守る形式のエッセイとは異なり、物語形式のエッセイでは物語の流れに沿ってより柔軟な構成が可能です。アウトラインには通常、出来事に関する一般的な概要が記載されており、執筆者は本文のセクションを先に執筆し、序論は執筆プロセスの後の段階で作成するという選択もできます。このアプローチにより、より自然で流れるような執筆プロセスを実現できます。物語形式のエッセイのアウトラインをどのように作成すればよいか迷っている方のために、以下に魅力的で一貫性のある物語を構築するためのサンプルアウトラインをご紹介します: 

序論 

  • フック/導入文:序論には、読者の注意を引く魅力的な引用、問いかけ、あるいは逸話などの導入文を配置します。 
  • 背景説明:物語の舞台となる場所、時代背景、雰囲気、および主要な登場人物について簡潔に紹介します。 
  • 主題文:この経験から得られた主要なテーマや教訓を明確に提示します。 

本文 

  • 出来事1(発生順に記述):物語の主軸となる最初の重要な出来事を詳細に描写してください。主要な登場人物を紹介し、物語の舞台設定を明確にするとともに、感覚的な描写を加えることで物語に深みと臨場感を与え、登場人物に生き生きとした個性と情熱を吹き込みましょう。 
  • 出来事2:各出来事間の流れが自然につながるよう配慮してください。物語の続きとして、2番目の出来事を展開します。よりドラマチックな展開を求めるなら、サスペンスや緊張感を盛り込むか、物語の結末を次号に続く形で余韻を残す手法が有効です。登場人物の成長と関係性の構築に重点を置き、対話を効果的に用いることで物語に命を吹き込みましょう。 
  • 出来事3:もし物語に意外な展開や緊張感があったなら、このエピソードでは物語のクライマックスを迎えるか、物語を収束させる役割を持たせてください。出来事を論理的に結びつけ、登場人物の心情や反応を的確に表現することで、物語の流れを途切れさせないよう心がけましょう。 

結末 

  • あらすじの要約:物語形式のエッセイにおける主要な出来事を簡潔にまとめ直してください。物語の展開に大きく寄与した重要な場面を強調します。共有された経験が持つ意義について、筆者自身の考察を加え、それらが語り手に与えた永続的な影響を浮き彫りにしましょう。物語の締めくくりとして、読者の心に強く残る力強い一文――物語の本質を凝縮した、考えさせられるような結語を用意します。さらに付加価値として、読者の記憶に長く留まる印象的な言葉や引用句で物語を締めくくることを目指しましょう。これは読者の心に余韻を残し、エッセイ全体の印象をより深いものにする効果があります。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)の種類 

ナラティブエッセイには複数の種類があり、それぞれに特徴的な要素があります。以下の表に、代表的なナラティブエッセイの例をいくつか示します。 

 物語形式のエッセイタイプ特徴 
1.個人的エッセイ著者自身の体験・洞察・内省・感情に基づく 
2.自伝的エッセイ著者の生涯にわたる出来事を網羅的に記述 
3.描写的エッセイ読者を作品世界に引き込むための詳細な描写を重視
4.体験的エッセイ特定の体験を題材とし、そこに生じた感情的反応を描写 
5.歴史的エッセイ歴史的事件を主題としたノンフィクション作品で、比喩表現を用いて事実を描写 
6.伝記的エッセイ個人の生涯・性格・業績・直面した課題などを探求 
7.旅行記旅の過程で経験した出来事や思索的な観察を記録 
8.文学的エッセイ文学作品を分析・解釈するもので、物語的要素を含む

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)の書き方:段階別ガイド 

物語形式のエッセイは、個人的な体験や実話、あるいは読者の共感を呼ぶような想像上のシナリオから着想を得ることで、書き手が言葉で創り上げた想像力豊かな世界へと読者を引き込むことができます。ここでは、物語形式のエッセイを書くための分かりやすい段階別ガイドをご紹介します。 

執筆前の準備段階 

  • エッセイのテーマを選定する 

課題が指定されていない場合、まず執筆するテーマを選ぶ必要があります。ユーモアの要素や意外な展開、型破りなクライマックスなど、読者の興味を引きそうな個人的な体験を考えてみましょう。こうした題材を計画する際には、十分な情報量があるか、ユーモアや感動を与える内容か、魅力的な登場人物やストーリー展開があるか、そして印象的なクライマックスがあるかを検討してください。また、使用する文体的特徴(比喩や伏線など)についても考慮しましょう。これらの文体的選択は後で変更することも可能ですが、早い段階でこれらのアイデアを整理しておくことで、エッセイの方向性を明確にすることができます。 

  • エッセイの構成を作成する 

テーマが決まったら、物語形式のエッセイのアウトラインを作成します。アウトラインは、執筆中にアイデアを整理し、エッセイの流れを保つための枠組みとして機能します。執筆に行き詰まった時や、物語の続きをどう展開すればよいか迷った時に、スムーズな移行を助ける役割を果たします。また、執筆の原点に立ち返るための指針となり、なぜこの物語を書こうと思ったのか、その物語がなぜ重要なのかを再確認させてくれます。 

執筆段階について 

  • 初稿を完成させる 

完璧なストーリーラインと構成があっても、実際に執筆を開始し、言葉に命を吹き込んで初めて作品は完成します。新たに作成したアウトラインを活用し、論説文の各セクションを明確に描き出しましょう。学術論文とは異なり、論説文では芸術的な自由と独創性が許容されるため、自分の考えを自由に表現することを躊躇しないでください。ただし、修辞技法を過度に多用しないよう注意が必要です。読みやすさと流れを保つためには、適切なバランスを保つことが肝要です。 

  • 一人称視点を用いる 

論説文の最も魅力的な特徴の一つは、従来の学術的な文章作法が適用されず、通常は一人称で語られる点です。「私」や「私の」といった一人称代名詞を用いて、さまざまな状況を描写することができます。ただし、これらを多用しすぎると語彙の適切さに欠ける印象を与えかねないため注意が必要です。 

  • 物語性や創造的な表現を活用する 

比喩、直喩、伏線など、小説や創作文で用いられるストーリーテリングの手法や言語技法を活用することで、多様なテーマを効果的に伝えることができます。論説文では、比喩表現、対話描写、サスペンス要素の使用が推奨されます。 

  • 構成を保つための形式に従う 

論説文には厳密な形式は存在しませんが、執筆時に大まかな形式に従うことは思考を整理する上で有効です。例えば、導入部では論説文を作成する意義を強調し、結論部分でその重要性を再度確認します。また、物語を時系列順に構成することで、読者が内容を追いやすく、ストーリーの流れを理解しやすいものにしましょう。 

編集作業の段階 

  • 再読・修正・編集のプロセス 

校正と編集は物語形式のエッセイを作成する上で欠かせない工程ですが、この段階で細部にこだわりすぎると作業が停滞しがちです。編集作業に入る前に原稿から一旦離れることは、賢明な対処法と言えます。1日か2日、あるいは数時間でも時間を置くことで、物語の展開をより豊かにし、文法上の誤りがあれば修正する余裕が生まれます。この「距離を置く」期間によって、新鮮な視点で作品に向き合えるようになり、編集作業に新たな明晰さと鋭い洞察力を持って臨むことが可能になります。 

一つの有効な方法として、執筆を始めた時に設定した目的を改めて検討してみることをお勧めします。以下の点を自問自答してください: 

  • 物語には明確な始まりと終わりが設定されていますか? 
  • エッセイには主題や記憶、あるいは伝えたい教訓が含まれていますか? 
  • エッセイのトーンは意図した雰囲気と一致していますか? 

これらの点を意識しながら、エッセイを修正・校正してください。Paperpalなどのオンライン文法チェックツールや言い換えツールを活用すれば、提出前や投稿前に文章の粗い部分を滑らかに仕上げることができます。 

エッセイは執筆した順序に沿って編集することが推奨されます。以下に実践的なアドバイスをいくつかご紹介します: 

  • 導入部の見直し 

物語形式のエッセイを書き上げたら、導入部を見直し、展開した物語との調和が取れているか確認しましょう。物語の導入部分が適切に機能し、結論部分と自然に繋がっているかどうかをチェックしてください。 

  • 結論部分の修正とエッセイ全体のブラッシュアップ 

結論は、エッセイ全体の一貫性と調和を確保するために最後に編集すべき部分です。最初に提示した主題や教訓を的確に補強するものでなければなりません。 

  • 記事全体の修正と完成度の向上 

最終段階では、記事全体のトーン、文体、時制の統一性に加え、言語表現、文法、句読法、文章の明瞭さを徹底的に磨き上げます。この段階でメンターや同僚からフィードバックを得ることは、客観的な視点からの貴重な助言を得る絶好の機会となります。 

物語形式のエッセイ(ナラティブエッセイ)例 

物語形式のエッセイとは、著者の個人的な体験を比喩的な表現を用いて描写した、感覚的な訴求力を持つノンフィクション作品です。物語形式のエッセイのテーマ例としては、忘れがたい体験の描写、失敗からの学び、あるいは目標達成の過程などが挙げられます。以下に、個人的な体験を綴った物語形式のエッセイの一例を紹介します。 

タイトル:『猫の大いなる旅:野良子猫の保護体験』 

序章: 

It was a fine summer evening in the year 2022 when a soft meowing disrupted the tranquility of my terrace. Little did I know that this innocent symphony would lead to a heartwarming journey of compassion and companionship. Soon, there was a mama cat at my doorstep with four little kittens tucked behind her. They were the most unexpected visitors I had ever had.

本文: 

The kittens, just fluffs of fur with barely open eyes, were a monument to life’s fragility. Their mother, a street-smart feline, had entrusted me with the care of her precious offspring. The responsibility was sudden and unexpected, yet there was an undeniable sense of purpose in the air, filling me with delight and enthusiasm.

As the days unfolded, my terrace transformed into a haven for the feline family. Cardboard boxes became makeshift cat shelters and my once solitary retreat was filled with purrs and soothing meows. The mother cat, Lily, who initially observed me from a safe distance, gradually began to trust my presence as I offered food and gentle strokes.

Fostering the kittens was a life-changing, enriching experience that taught me the true joy of giving as I cared for the felines. My problems slowly faded into the background as evenings were spent playing with the kittens. Sleepless nights turned into a symphony of contented purring, a lullaby filled with the warmth of trust and security. Although the kittens were identical, they grew up to have very distinct personalities, with Kuttu being the most curious and Bobo being the most coy. Every dawn ushered in a soothing ritual of nourishing these feline companions, while nights welcomed their playful antics — a daily nocturnal delight.

結論: 

As the kittens grew, so did the realization that our paths were destined to part. Finally, the day arrived when the feline family, now confident and self-reliant, bid farewell to my terrace. It was a bittersweet moment, filled with a sense of love and accomplishment and a tinge of sadness.

Fostering Kuttu, Coco, Lulu, and Bobo became one of the most transformative experiences of my life. Their arrival had brought unexpected joy, teaching me about compassion and our species’ ability to make a difference in the world through love and understanding. The terrace, once a quiet retreat, now bore the echoes of a feline symphony that had touched my heart in ways I could have never imagined.

よくある質問 

Q1. 物語形式のエッセイの適切な長さはどれくらいですか? 

A1. 物語形式のエッセイの長さは作品によって異なりますが、一般的には簡潔なものから中程度の長さの文章が適しています。通常、エッセイは導入段落、2~3つの本文段落(この数は場合によって変動します)、そして結論で構成されます。物語形式のエッセイ全体の長さは、課題の要件や執筆者の意図によって、わずか5段落程度の短いものから、より長文に及ぶものまで様々です。 

Q2. 物語形式のエッセイはいつ、どのような場合に執筆すべきですか? 

A2. 個人的な体験や物語、あるいは一連の出来事を、創造的で魅力的な方法で伝えたい場合に、物語形式のエッセイを執筆することができます。物語形式のエッセイは、学生が自身の表現力を発揮し、ストーリーテリングのスキルを披露する手段として、学術的な場面で頻繁に課題として課されます。ただし、個人的な内省のため、娯楽目的のため、あるいは特定のメッセージを伝えるためなど、個人的な理由で執筆することも可能です。 

Q3. 物語形式のエッセイの構成構造はどのようになっているのでしょうか? 

A3. 物語形式のエッセイは通常、以下の3部構成で構成されます: 
– 導入部(物語の舞台設定を行う部分) 
– 本文段落(出来事の順序を詳細・描写・対話を交えて描写する部分) 
– 結論部(物語の要約を行い、その意義について考察する部分) 

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